ロイ&ゴールド氏の離脱騒動、コムキャストによる買収騒ぎ、取締役不信任、つぎつぎと話題を振りまいている米ウォルト・ディズニー社ですが、またもや新たな話題をぶちかましてくれました。今度の話題は映画がらみ。”The Alamo”の歴史的不振の後の話題はマイケル・ムーア監督の発言から。
・Disney Bars Unit from Releasing Anti-Bush Film(Yahoo! Finance Reuters)
・Disney Forbidding Distribution of Film That Criticizes Bush(The New York Times)
日本でも下記のようなニュースがアップされている。
・ディズニー、マイケル・ムーア監督のブッシュ批判映画配給を禁止(Reuters Japan)
・ディズニー社の矛盾指摘 ムーア作品拒否で米議員(Yahoo!ニュース 共同通信)
内容は、マイケル・ムーア監督の新作"Fahrenheit 9/11."の配給をミラマックスが行うことを禁止した、というもの。ミラマックスは本来は独立系の映画配給・製作会社であったが、資本的にはウォルト・ディズニー社の傘下となっている。親会社であるディズニー社が配給を禁止するよう指示した理由は上記のニュースでは「この作品がブッシュ政権を批判的に描いているから」、とされている。そしてこの裏にはフロリダ州の知事Jeb Bush氏(ブッシュ大統領の兄弟)を怒らせるものであるからとの点についてもふれている。
世間一般的(?)にはトラブルメーカーはどちらかというとミラマックス社であることが多い。ミラマックス社の会長ハーベイ・ワインスタイン氏がその元になっていて、けっこう悪い評判も多い人物だ。
一番知られているのは監督に無断で勝手に映画を編集してしまうことで、ずたずたに作品を切り刻んでしまうことから”シザーハンズ”とのあだ名も与えられたりしている。「キル・ビル」も2作に分割されたときなんて、”あの”ワインスタインがカットして短くするんじゃなくて2作品にわける決断をしたってことで話題になったくらいだ。
その一方、「グッド・ウィル・ハンティング」といった作品を製作することもあったり、最近はアカデミー賞の常連になっている。まぁアカデミー賞への積極的な姿勢は逆に関係者から迷惑がられてるくらいですけど。2003年のアカデミー賞では作品賞候補5本の内の4作品(「シカゴ」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」、「めぐりあう時間たち」、「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」)に絡んでおり、マーチン・スコセッシ(「ギャング・オブ・ニューヨーク」監督)やスコット・ルーディン(「めぐりあう時間たち」プロデューサー)との喧嘩は話題になりました。アカデミー賞には「ギャング・オブ・ニューヨーク」をとらせるよう「シカゴ」のロブ・マーシャルを説得したりと、もうやりたい放題。アカデミー賞を受賞するためアカデミー会員を接待したりのキャンペーンを展開して大ひんしゅくをかっている。あまりにもえげつないので今年から制度の見直しを行うきっかけにもなっていたりする。(それくらいミラマックスとドリームワークスのやり方がスゴかった)
で、何かと話題のミラマックス社なんですが、今回の争点はディズニー社がブッシュ政権に批判的な作品であることを理由に配給禁止を指示した、ということ。そして、ウォルト・ディズニー・ワールドを展開するフロリダ州で不利益にならないよう政治的に圧力をかけている、ということだ。
もうひとつの指摘は最近のミラマックス社のヒット作「キル・ビル」と比較して暴力的な映画は儲けるために公開するのにブッシュ批判の映画(自分たちに不利益な内容)には公開禁止措置をとる、という点だ。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」で一気にメジャーになったマイケル・ムーア監督の新作ということで話題性に着目して制作したもののその内容が内容だから突然配給禁止指示、というのはそれがホントならおかしなハナシ。双方の主張が異なっており何が真実かわからない状況ですが、この政治的圧力は許されませんな。
一方、話題つくりのために利用されたってのもあるかも。内容に興味を持たせるためのトピックつくりとある意味で確信犯的な、かなりしたたかな戦略があるのかも、とか感じてみたり。先日も「パッション」がその内容から当初は公開する配給会社がないのでは?とか話題になりつつ、いざ公開したら大ヒット、なんてのもありましたし。
反体制的な姿勢、社会の矛盾をつくところがマイケル・ムーア監督の特徴であるため大きく扱われた今回のこの話題は最高の宣伝になったともいえますな。
なお、ディズニー社の株価はここのところ下落する一方。筆者が株主になってから株価はほぼ半分になってます(汗)。
カンヌ映画祭を控えもうすこしこの話題は世間を賑わせるかもしれませんな。要チェックだ。
関連リンク
・michaelmoore.com(Official Site)
・マイケル・ムーア(日本版公式ページ)